医療関係の仕事の娘と、それを目指す下の娘。
上の娘はすでに就寝中、下の娘に「見たほうがいいよ」と声をかけても、バラエティしか見ない・・・
まぁ、ボクが大学生時代にも、社会情勢には、あまり興味はなかったよな・・
しかぁし、う~~ん・・・

川島なお美、コメントおもしろかったが、NHKではちょっと浮いてたぞ・・
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家庭医、という新しい位置づけ
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ちなみに2025年問題は、よくある話の「団塊の世代の入院お断り」な話題。
ボクは違うけど、「団塊の世代」は、なにかと悪い話題に持ち出させるイメージが強い。
実は、今の日本の経済発展の立役者だろうに・・
なんかかわいそう。

以前TVで見た、さらに2030年問題、というのもあり、これは死期を迎えた患者の多くが、病院では臨終を迎えられない、という在宅看護のススメの話。
いままでは「病院では死にたくない」と希望する老人の希望が皮肉なことに、選択肢を与えられないまま実現する、という絶望的な話。

今日の番組では「みなさん、いつまでも健康でいましょう」という叫びも。
まさに、今ランニングしているシニアの人たちは、それに向かっているはず。
心筋梗塞も気になるが、入院して長々と医療費を食いつぶすよりも、コロッと死ぬほうが経済的。

今後は、延命治療を望むかどうかの意思告知も重要になるかもしれないな。



ところで、今日は最高気温は岡山でも33℃以上。
昨日は、午前と午後の2回に分けて、それぞれ約100箱程度の発送資材を倉庫に運びました。
気温は、今日よりはやや低かったのが幸い。
4トン車で運んできた箱、たぶん、重さは1個10キロ以上。
ボク一人のときもあったけど、あと3人ほど応援をもらったときもあった。
集中して15分ほどの作業。
さすがに、最後は左手がダルかった・・
それでも、休みなく動けたのは、まだマシな証拠・・


今日の昼食には「はなまるうどん」にしたけど、11時過ぎ、開店して少しの時だが、「かけうどん」の注文なのに
「お客様、すいません、3分ほど待ってください」
・・・仕事する気あるんか???
さぬきうどんの店なら、ありえまー。


それにしても、ガソリン、たか!
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ウカスカジーって、
gaku-saku
の逆なんだ。
桜井+GAKU.mc

月曜から、常に時間に追われて仕事。
途中で割り込み。
責任者ではないのに、「PMさん、知らない、とは言わせませんよ」みたいな意見も受けるが、ムキになって相手をするほどヒマではない。
自分がガマンすればよいことなら、そちらを選ぶ。

今日は、なんとか早く帰れそうだったので、帰宅したものの、走る気はなかった。
でも、せっかくの機会だから・・・
いつ、平日に走れる時間が確保できるかわからないから・・

19時前だったけど、まだ薄暗い程度だったけど、ヘッドライトをつけて、まあまあのペースで7キロ。
もう2年くらい、津波の防災対策のため、土手の改修工事のために走りを封印していた旭川西岸コースは広くフラットに整備されてとても走りやすい。
暑さも、それほどでもないけど、給水のボトルはもってこなかったので、7キロで。

終盤は、久々に昨日iTunesで購入した曲を聴きながら。
「勝利の笑みを君と」ウカスカジー
「にじいろ」絢香
「放たれる」MrChildren
「WeDon'tStop」西野カナ
「LetItGo」松たか子


会社では、少し前に「慶弔見舞い届」の改定案内があり、もう縁がない、と思っていたら、同僚から「PMさん、申請ださないの?」と。
「え?出産祝いでしょ?そんなん、とうの昔・・」
「でもね、今現在第3子がいれば、過去にさかのぼって支給されるみたいだよ」
よく読むと、既に第3子がいるだけで、該当になるらしい。
もう、17歳の娘なのに(笑
支給額は10万円。

そのまま家に持ち帰れば、「貯金!」になってしまいそうだが、「タナボタ」みたいなもんだから、なにか家族で楽しいことに使いたい・・・
関門はヨメさんもワガママな娘達、困ったなぁ・・
日曜の早朝は6時にスタート。
思ったよりは気温は低くない。
でも、さすがに雲っているし、極端な暑さではない。
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今日は8時から町内の道掃除なので、それまでに必ず帰宅するため、20キロはムリなので、10キロちょいを目標に。

帰りの10キロ過ぎくらいから、家から少し離れたこの地域ではもう道掃除、というか、「ドブさらい」が始まっている。
掃除する人々の横を走っていくと「おめーの町内で掃除、手伝わないのかよ」と言われているようで、気になるので自然と焦ってペースはあがる(笑
または、「実は、ウチの町内も、実は7時スタートだったかな。聞き間違えたか?」とちょっと不安にもなる・・

麦秋とは、こういう時期なのだ・・なるほど
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道掃除は、さほど大変ではなく、20分ほどで終了。
近所の10戸くらいの利用する道だけだし。

昼食には久々に「ベーコンツナ・パスタ」をつくり、ヨメさんと高3の娘に食べさせる。

12時から、娘をオープンキャンパスに連れて行ったあと、迎えが面倒なので(3時間くらいあとにまた戻ってくる)、マスカットスタジアムに車を置いて、時間待ち兼、この暑さでずっと動けるかどうか検証のため、走って美観地区まで。
気温が高いのはわかっていたが、それでどれだけ走れるか、13時過ぎからトライ。
たしか、28℃くらいだったはず。

タバコの一種なのか、新しいコーラなのか?どっちやねん途中の店
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暑いけど、時折風もあって、真夏の暑さでないことは感じました。

鶴形山を登り、阿智神社にお参り。
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階段を下りて、そこは観光客が行き交うので、スピードはだせない。
鶴形山トンネルを抜けて、左に曲がらないといけないのの右に曲がって、店屋の前で立ち往生して方向転換している軽のねーちゃんを見るにみかねて、誘導してやったよ・・

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すりぬけて走る
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大原美術館が三つ目のモンスターに見える・・
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実は今日がハートランド倉敷の最終日だった・・さぞかし暑かったろうに。瀬戸の花嫁も、また来年か。
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以前に比べて、この美観地区は一段と垢抜けたかんじがする。
自由に使える小遣いがたくさんあり、アベックで訪れるなら、かなり満足感が得られそうな気がする。特に、県外からの客には。

アイビースクエア。ここはいつも変わらない。だから、良い。
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娘のオープンキャンパスが終わるのは、早ければ15時くらいなので、だいたい2時間くらいで戻る予定で、ざっと10キロをまわってきました。

娘かヨメさんへのオミヤゲは、犬とか、クリスタルの花火を写した「箸置き」。(ちょっとピントがダメ)
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もってきた水分は1L。飲み干して、最後にコンビニで買ったいろはす。本当は、奥大山の水・スパークリングが欲しかった。
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帰りのスーパーで、ちょい安売りの「黒糖焼酎」。予想外にウマかった・・・
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で、飲みながら、その晩みた、女子サッカー・アジアカップ優勝戦。
1-0でオーストラリアを降す!日本は初のタイトル。
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AKB48入山・川栄の握手会でのノコギリ傷害事件もあったが、今日一番のニュースだ・・



・・そういう出来事も家では会話することはない。
月曜の今日、帰宅する途中、2車線の道の内側を、カーブを曲がって走っていたところ、「外側車線からUターンしてくるクルマ」にあやうく接触する寸前、事故は避けられました。
雨上がりとはいえ、スリップするがとてもコワかった・・ブレーキングはちゃんと操作できたようだ。
・・・てなことも、ボクが子供の頃は家人とも話する機会もあったのに、今やなにも語る相手がいない・・
SONGSにて。
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ウルフルズ、再結成したんだ。
ソウルフルズ、から1文字取り除いた名前。

95年の「ガッツだぜ!」はPVも印象的だったし、今きくと、マイナー調とメジャー調をうまく組み合わせた名曲だと思う。

来週は、松田聖子のヒット曲メドレーか。見なくては・・・



朝8時過ぎに、会社の部長(とはいっても、同期入社で年はボクより下だったりする)から携帯に電話。
知らない番号は大抵無視するのだが、出てみると、あれ?てなかんじで。

会社のトラブルの関係で、関連するデータのありかを知るボクに「午前休だそうだけど、早めに(=すぐに!)出社してくれん?」と。
今日は、病院に行く予定なんだが、そういう回答をすると「じゃ、別にデータのことわかる人、いない?」
「それなら、Iさんが知ってますよ」
「わかった。出社してるみたいだから、聞いてみる」
多分、ボクのミスではないことはわかるのだが、それでもいい気分ではない。
午前まるまる休みにするつもりはなく、早めに出社するつもりではあるが、いくつかやりたいこともある。
それも、省いてしまわねばならないようなプレッシャ。

病院には行き、薬をもらうだけ。
血圧が高めなせいだが、いつものとおりの診察が2分ほどで終わる前に、きいてみました。
「血圧が高い人が、ムリヤリ心拍を高めるのは自殺行為でしょうか?」
「うーん、極端でなければいいと思うけど」
「インターバル走で、心拍数をあげる練習方法があるんですけど、それはやらないほうがいいですか?」
「今、アナタの血圧は薬のせいもあるけど、正常だから、よほどキツいことさえしなければ大丈夫」
なるほど。
ま、それをやって「バカなことをしてたもんだ」とあとで思われることはなさそうだ・・
医者の人、この会話、ちゃんと覚えてくれていろよな・・


明日こそは走る予定だが、このところ、左足が気になる。
歩いたり走るのは平気だが、ぐっと曲げると、関節が痛むことがある。
立ったまま、左足のクツシタを持ち上げるのが、ちょっと億劫とか。
最近たいした走りもしてないのに、故障するのはナサケナイので、なんとか走りながら直そう・・・
仕事ではしんどいことばかりで、平日ナイトランするほど早く帰宅できないし、早朝走る元気がない・・

今日こそは定時で帰りたかったけど、ずるずる、19時半前に会社をあとにしました。

帰りたかったのは、女子サッカーアジアカップ準決勝が19時からあったから。
いつもなら家族はみんな夕食を済ませている時刻なのに、娘たちは不毛なバラエティ番組を見ながら夕食中・・

仕方なく、そのまま自室のPCでアジアカップを見ていました。
すんなりいくかと思えば、あのハンドはないだろ・・・
中島、可哀想。

澤の先制ゴールは、かつてのW杯アメリカ戦の同点ゴールを彷彿とさせる鋭い角度のゴール。
そして、後半では日本の選手の動きが鈍く、延長ではさらに鈍い。
正攻法ではなく、ミラン本田みたいに、ペナルティをもらってフリーキックでチャンスを作るしかないと思っていたら・・

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そういえば、岩清水は、W杯決勝アメリカ戦でも、延長終了間際で米選手のカウンターを阻止して一発レッドカードになったはず。でも、それがあったから、勝利に繋がった。

補足:スポーツニュースでは軽い取り上げられ方だったけど、今回は相当なでしこは厳しかったはず。FW大儀見は離脱し、スーパーDF鮫島もいない。後半、川澄や宮間のあんなに悪い動きもめったにないこと。

まさか、延長まで行くとは思っていなかったので、22時からのTVを思うと、ちょっと焦っていました・・
なんとか直前で「ケリがついた」(笑)

「続・最後から2番目の恋」
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家族とは相変わらず会話がなく、仕事はイヤな同僚ばかり・
疲れているけど、明日は朝走るべきかな・・・そういう意味で走ることが多いのはいかがなものか・・・否定はしたくないが。

やっと咲いた、庭のカンパニョーラ
ちょっと写りは悪い
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TVでもいろいろスペシャルしてたから、もしかしたら見たことあるかも・・・と思いながらツタヤ100円レンタル。
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始まってすぐに「犯人はコイツだな」と思ったら、まんまと当たった・・・
ま、恋人達のデートとか、肩の力を抜いて2時間を過ごすには、リズムがいいし、悪くない。

でも、竹中直人だけはダメだな・・
所詮はボクの中では昔とかわらず「3枚目のひょうきん悪役」なので、出演するだけで質が1流から3流に下がる。

嵐の好きな娘のためもあって選んだのだけど、「借りてきたよ」と言っても彼女が無関心だったのがけっこう無念・・・
数日前、昨年の今頃のブログを見ていたら、ヨメさんの実家に草刈に行っていました。
ならば、今年も必要かな、と義父にきいてもらうと、渡りに舟、ということで。

ま、行きは走れるので、ちょうどいい。
帰りの八浜経由16キロは、行くかどうか、作業が終わってから考えよう。

朝6時半に家を出る。
もうちょい涼しい予想だったけど、今日はなんだか体が重い・・・
ダルオモのまま、児島湾大橋の坂を登る。
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さらに長谷峠までの坂は、今日は、この早朝にしては案外車が通るので、ちょっと道路わきによけるのが面倒・・

持ってきたペット500ccの水は、着くまでに飲み干しました。
汗が帽子のツバを伝って目の前でこぼれ落ちる・・

すれ違ったランナーは2人くらい、チャリも、今日は少ないようでした。

8時から、ほとんど休みなく草刈。
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刈ったのはここだけではないんだけど。

柿の木の葉の色が、いかにも新緑。
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狭い坂で滑らないようにトレランシューズにして、ランニング用の服装の上に、肌が露出しないように(虫防止)上下のトレーニングウエアを着て実質3時間くらい草刈機を振り回していたら、汗もかくし、バテました・・


車で手伝いにきてたヨメさんに乗せてもらって帰宅の途中、児島半島100キロマラソンのコースの一部が気になったので、寄り道してもらいました。
本来のルートでの金甲山への登り口。
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イノシシがでるので、入山禁止、だそうだ。昨年もこんなカンバンがあった。

これじゃ、またも正規コースはムリかなぁ・・
もう、10年も前に書いた話・・

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-1-

小学校4年のエリは、魚釣りが大好き。

お母さんは「女の子が、いつもサカナ臭いニオイをして・・」と毎日あきれ顔。

でも、週末にしかなかなか話のできないお父さんが教えてくれた、エリの
ささやかな楽しみは、誰に言われようと、やめるつもりはない。

いつも行く近くの池で一緒に釣りをするススム君が、ある日エリに言いました。

「ここで、虹色のサカナが釣れるんだってさ・・。ケンタが言ってた」
「そうなの?アタシも釣りたいなぁ・・」

それ以来、エリは宿題もそこそこに、夕方まで池にいました。

「今日もダメか・・・」

夕焼けが赤から紫に変わろうとする空の下、エリは小さな魚の入ったバケツを持って、
なんとか駆け足で家路を急ぎました。



-2-

その夜、エリは夢の中でも釣り糸を垂らして池のそばにいました。

「どんなサカナなんだろう・・・虹色のサカナって・・」

きらきらしたサカナ・色が次々と変わるイルミネーションみたいなサカナ・
そのまま虹の橋になりそうな、ながーいサカナ。

エリの想像は膨らむばかり。


すると、釣り糸が、「つんつん」と動いたような気がしました。

「あれ・・?」

でも、竿をあげても、手ごたえがありません。するとまた

「つんつん」と糸が引かれます。

「なに・・・これ?」

ウキを確かめよう、と竿を立てたその瞬間。背中から、なにかが光っているのがわかりました。

エリは振り返りました。

池の土手の向こうに、まるで日の出のように、白っぽい丸いものが見えました。

「なんだろう・・」

その丸いものはすこしずつ「登って」くるようで、光も増してくるようでした。

エリがちょっと身構えたとたん、白いものの中に、黒いものが見えました。

「あ!」

まんまるい黒い点は、まさしくサカナの目にみえました。
そして、それはちょいと「ウインク」しました。

土手に近づくと、エリはまた「あ!」と叫んだつもりでしたが、
それはほとんど声になりませんでした。だって、そこには、まさしく
白く光ってはいましたが、目が慣れるにつれ、虹色の模様の
あるサカナが「寝そべって」いたのですから。

まるでマンガのように、細い足や手もあるけど、確かにエリの身長よりも
5倍くらい大きなサカナが、眠そうに寝転んだままエリを見ていました。

「うそ!・・・・これが・・・あの虹色のサカナ・・?」


ー3-

「・・・・あんた、ワシが見えるのかい?」

「え・・!」サカナがしゃべりました。エリは目をまんまるにしてしまいました。
「おサカナさん・・・お話できるの・・?」

「いやはや・・・」虹色のサカナは頭部を支えていた手をはずしてゆっくりと[起き上がり]
ました。尾びれは横にしたまま、「お嬢ちゃん、ワシが見えるとはね・・これはたまげた」

大きくて、ちょっとこわい感じはしたけど、エリは、予想していたよりもはるかに
いろんな色に輝いてみえるサカナのうろこをじっと見入ってしまいました。

「あんた・・えっと、なんという名前だい?」

「エリです。あなたは?」

「ワシは・・そうだな、ミムとでも呼んでもらおうか」

「ミム・・・さん。わたし、あなたを探していたの。」

「それは知っていたよ。さっき釣り針を垂らしていたろう。
ちょうどよかったんで、足の裏を掻かせてもらったわい」

「それで・・・」

「で、どうするつもりだい?その赤いバケツにワシを入れて
家に帰るのかい?ずいぶん、狭すぎるようだがね」

「ううん・・・」エリは後ろにくくった髪を横に揺らせて答えました。「いいの。本当は釣り
上げたかったけど、それは無理みたい。本当に虹色のサカナさんがいたから、それでいいの。」

「ほほぉ・・・それでいいのかい?」

「きっと・・・いいと思うわ」

本当は、エリはススムやケンタに見せて自慢したかったのですが、この
大きさではとてもそんなことはできません。でも、このまま帰って話を
しても、ウソツキみたいに思われるかなぁ、とぼんやり思っていました。

それを見透かしたかのように、ミムは言いました。

「それじゃ、ワシだけが知っている秘密を見てもらえんかね。」ミムはちょっとエリを
覗き込むように顔を寄せました。「ワシも、他の仲間に信じてもらえん話があるんだ」

「どんなこと?」

「来ればわかる。さ、背中に乗って」

体を横にしてくれたミムの背びれのあたりにエリはおそるおそる歩み寄り、触って
みました。普通のサカナのようなぬるぬるした感触はなく、むしろ柔らかい細い毛が
一面に生えているようで、しっかりとミムの背中に乗ることができました。

「じゃ、行くから。しっかりつかんでいなさい」

ばしゃっ!という水を跳ねるような音と共に、エリを乗せたミムは急加速で空に登っていきました。


-4-

エリは、いつのまにか目をつぶっていたどころか、夢うつつにも似た感覚で、前を見ました。

「!・・・空!」

「お?気がついたかい?もうちょっとだ。」ミムが声をかけました。

「空・・・飛んでる・・・」頭上には数え切れないほどの星、そして下の雲は黄金色に輝いています。

「夢・・・じゃないよね・・」

「夢じゃないさ」ミムがすぐに返事をしました。「ワシと会ったのはエリの
夢の中だったじゃろ?その夢の夢だから・・・これは現実なんじゃよ」

「そう・・・なの???」エリはすぐには信じられない気分でしたが、
後ろになびく髪や頬にあたる冷たい空気は、とても夢には思えません。

「ほら・・・あそこに」ミムが前を見て、まっすぐ前の少し上に三日月があるのがわかりました。

「え?あそこまで行くの?お月さまに?」

「そうじゃよ」

もはやサカナのミムが空を飛んでいることの不思議さよりも、釣りの帰りにいつも
見上げているお月さまがどんどん近づくことにエリは夢中になっていました。

黄色いチーズのような三日月までもう少し、というところで、三日月の
中心あたりになにかが動きました。まつげの長い目のように見えました。
そして、円弧の内側には口のようなものが少し開いて・・

「なによ!ミムじゃない!どーしたの、こんな時間に」

三日月がかん高い声でしゃべりました。エリは仰天して
もう少しで背びれにかけた手を離してしまいそうでした。



-5-

「あんたを見せてやりたくてね」ゆっくりとブレーキをかけた
ようにしてスピードが緩んで、ミムが三日月に話かけました。

「エリ、こいつはヤム、っていうんだ。」
「あ・・ヤムさん。こんにち・・あ、こんばんは」

「で、用てのはなんなの」いらいらした口調でヤムが答えました。

「だから、あんたを見せてやりたかったんじゃよ。三日月とワシが知り合いだってことをね」

「そんなの、どっちでもいいことだわ」

「まあ、そういうなよ。あんたとワシがいればこそ、喜ぶ人達もいるじゃないか」

「イヤよ。そんなこと。見てなさい、わたしはもうすぐまんまるに太って人間の前にでてしまうの。
そういうときに、人間はみんな喜んでわたしを見るのよ。イヤだったらありゃしない」

「まあいいじゃないか。たしかに、ワシの仲間も、三日月がワシと話せると信じる者は少ない。
だから、エリ、見ていて欲しいんじゃよ。これが本当のことだ・・・って」

「うん」エリは目の前のことがとてもウソとは思えませんでした。
「三日月のヤムさん、とってもキレイ。私、いままで知らなかった」

ツヤのある小金色のヤムを見て、エリは本心からそう言いました。

「そう・・?ま、いいわ、今日は気分いいから、これ・・・あげる」

ヤムは、なにか小さな塊のようなものをエリに向かってほおってくれました。

「わぁ~・・これ・・星のかけら・・?」絵でみた星の形ではありません
でしたが、親指の先くらいの大きさのすこしいびつな楕円形のオレンジ色の
塊は、息をするように、光量や色が変わってみえました。

「時々、あたしに飛んでくるの・・痛いったらありゃしない。
でも、これならエリ?だったっけ。好きでしょ?」

「うん!好き!」

「よかった・・。あ、そうそう、そろそろ夜が明けるわ。早く帰った方がいいわ」

「じゃ・・・エリ、しっかりつかまってるんだよ。」最初の時とはうってかわって、
にこにこした目のヤムに見送られて、エリも精一杯手を振りました。

「よく覚えておくんじゃよ」ミムが言いました。「エリ、あとでまた、
私たちを探してみなさい。きっといい日が訪れることになる。」



-6-

目覚まし時計の音で目が覚めると、エリは自分のベッドにいました。
ミムのことも、あの背びれの感触も覚えているはずなのに、なにも
なかったかのように慌しく母親からの声が聞こえます。
「エリ!学校遅れるわよ!」

それから、何度もエリは池に行きましたが、二度とミムに会うことはできませんでした。

ヤムにもらったはずの、あのオレンジ色のかけらも、見つかりません。

でも、あのときのどきどき感を忘れることはなかったし、
それはエリだけのヒミツにしていても満足なのでした。


ある日、エリはタイクツなTVに飽きて、でたらめな選局をしていました。

ふと気がつくと、「真夜中の虹」という番組が映っていました。

遠い外国にある、国境のおおきな滝では、夜中に虹が見える、というのです。

なかなか見えない虹の取材の経緯を経て、やっとそのシーンが流れてきました。

「!!」

エリは目を見張りました。

満月の夜中の虹、それは暗く見えるけれども、ミムの姿に見えました。
もちろん、ミムだけではなく、無数のミムの仲間・・・そして、
空に浮かぶ満月は、・・・・ちょっと不機嫌な、あのヤムに思えたのです。

「こういうことだったんだ・・」

年に数回しか見ることのできない偶然の賜物・・それを実際に
見ることができる人には幸運が訪れるといいます。

TVに見入るエリの後ろで、母親の声が聞こえました。

「エリ、服のポケットに石、入ってたわよ。オレンジ色の。いるの?いらないの?」

エリは振り向き、大急ぎで母親のそばに駆け寄り、大事そうにうれしそうに
オレンジ色の石を両手で受け取りました。














[あとがき]

ふと訪れたR*Kさんのブログで見かけた、月とサカナの絵がきっかけでした。
絵本なんて、専門でもなく、マネッコで書いてみました。
話のデキの良し悪しよりも、R*Kさんのイメージが崩れないことを祈ります。
special thanks for □うちん□さん。
かつて書いたストーリィ。
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「リアルフォーカス」


目が,またかすんできた。
もう、12時を過ぎるというのに、まだ煌々と部屋の照明の残る一室。
また、辛い時間になったな、と遠藤康弘は心の中で思った。
ユーザに納めるはずのデータ変換が昼間に失敗していたため、今夜は
終わるまでここのUNIXマシンとつきあわなくてはならない。
PCが所狭しと並ぶソフトウエア会社のビルの3階には、それでも
まだ10人くらいは同じフロアに残っているだろうか。
遠藤が目をこすっていると、「おっす!」と声がかかった。協力会社の
倉田だ。
「まだ、遠藤さん、やってるの?」倉田はまだ20ちょっとのせいか、
この時間帯では6つほど年上の遠藤よりもはるかに元気がいい。物怖じ
しない性格だが、ラフな物の言い方にしては年輩の人間からは可愛がられて
いる。
「あ、ああ。また、やっちゃったよ」こういう失敗は、遠藤にとっては
珍しいことでもなかった。
「あれ?もう眠そうですねぇ。大丈夫ですか?まだ先は長いんでしょ?」
「い、いや、大丈夫。それより、倉田、まだ帰らないのか?」
「ボクは、いつでも帰れるんですけどね」倉田はにたにたしている。
「人にきいたんですけどね、えんどーさん、夜になると[変身]するって」
「なんのことだい?」
「いや、知らなかったんですけど、えんどーさん、コンタクトなんでしょ?」
「・・」そのとおりだ。でも、それがどうしたのだ。
「でも、夜中になると、ウルトラマンになるって。メガネかけて、
ジュワッ!って」
「おいおい、・・。」彼は、倉田が言わんとしていることがわかって、
うんざりした気分になった。「それより、もう残業つけるなよ。さっさと
帰れよ」
端末に向かう姿勢になって、遠藤は倉田を無視することにした。
「・・・ま、いっか。そいじゃ、また。帰ります」
案外倉田はあっさりと引き下がって机の向こうに行ったようだ。

数十分後、遠藤は洗面所で目からコンタクトを外していた。
そして、分厚いレンズの眼鏡を掛けた。
自分の顔を鏡で見ると、目は眼鏡の枠の中で実際の大きさの1/3ほどに
縮んだように見える。
牛乳瓶の底、とは今の人間にはあまりピンとこない表現だが、少なくとも
普段よりはルックス面ではマイナスの感じられる顔になる。
それがイヤで、昼間はコンタクトにしているのだが、長時間になると
どうしても目に負担がかかって、こうせずにはいられなくなる。
仕事でルックスを気にする必要はないのだが、まだ独身の彼には
女性社員のことも無視できなかった。ハードな労働条件にもかかわらず
そのフロアには魅力的な女性は少なくなかった。
結局、遠藤は白みがかった空を見ながら帰宅していた。

数日後。
遠藤が自宅でインターネットをぶらぶらしていた時、リンクリストを
なにげなくどんどん辿っていくと、垢抜けないホームページが現れた。
「なんだい?これ?」
テキストベースの、やたら大きなゴシック体の文章。タイトルか本文か
区別のつきにくい内容。さっさと戻るつもりが、1行の説明に目を止めた。
「超近視の方に朗報。度数調整自在で,外見は掛ける前と変わりません」
また胡散臭い話か、と思いながら見ると、商品を扱う代理店の一つに
彼の住む山間部の地方都市の,しかも行きつけのS書店の名前があった。
何か新たな企業が来るなら,もっと大きな中心都市が先なのが通常なのに、
不思議だった。
結果としてはそのページのアドレスは記録されることなく終わったのだが、
その数時間後、彼は引き寄せられるように車であの本屋まで走っていた。

午後遅くのS書店の店内は、いつも通りに適当に賑わっていた。
これもいつも通りに、遠藤はパソコン関係の雑誌のコーナーでめぼしい
本に目を通したあと、ゆっくりと店内を歩いた。たしか、ちらっとみた
あのホームページは「テレス」という名前だったはずだ。しかし、
そういう店のコーナーのような部分はどこにも見えない。
(やっぱりな。)
期待した自分もちょっと恥ずかしかったし、安心した気分で、CDROM
の雑誌を1冊手に取って、彼はレジに向かった。
そこで、彼はレジの入力端末の背中に小さいダンボール製のカードを
見つけて、ぎょっとした。
「テレスにご用のお客様は隣りのDS[ジェイ]までお越しください」
と書いた札だった。

(ま、見てみるだけ、だからな)
S書店の隣りのテナントはディスカウントショップ、とはいえ、多品種の
雑貨を扱うのがメインの10坪ほどの「ジェイ」という店だった。
彼が店に入っても、他に客がいるのかどうか、わからないほど通路が
狭く、あらゆる種類の日用品やら文房具やらがやたらと目立つ値札の
奥にぎっしりと陳列してある。
商品を袖でひっかけないように気を付けながら歩いて行くと、小さな
テーブルに眼鏡が何個か並べてあった。そして、「テレス」と,まるで
商売をやる気のないような文字で書いたハガキ大の説明板。その下には
「詳しくは係員まで」とある。
通路を見通すと、30代くらいの大人しそうな店員が立っているのが
見えた。
「すいません、ちょっと、これ・・・」
ま、最後は友人の話にすげ替えてしまえばいいだろう、と思って声を
かけた。店員はすぐに歩いてきた。
「これって、ただの眼鏡なんですか?」
「ああ、これね。」
店員はあっさりとした愛想笑いを返した。店員の説明によれば、
遠藤が見たホームページのような話だった。しかし、外見は
特にそれほど良くなるワケでもなく、遠藤のように質問する客のほとんど
がひやかしだという。そのために、「テレス」の関係者が本屋に作ろう
としたコーナーもそこそこに断られて、この「ジェイ」の店長が
気の毒がって置かせてやっているという。
「でも、あと1週間くらいかな。置いとくとしても」
「そうですか」遠藤は最後のつもりで眼鏡を見た。その一つは、どうやら
サングラスのようで、ちらっとコードのようなものが見えた。「これは?」
「ああ、これね。たしか、テレスの人はこれが売り物みたいに言って
いたね。近視の人が裸眼でかけても、クリアな視界が保証される、
とか・・・でもね」店長は苦笑いした。「私にはどんな効果かわから
ないんだ。いまだに眼鏡には無縁でね」
ま、よかったらゆっくり見ていってよ、と店員は嫌みのない口調で言葉を
残して去っていった。
サングラスを手にとると、少し普通のものより重い。
掛けてみたら、全く前が見えない。なんだ、これ、と思って下を見ると、
テーブルの上に短く操作説明が書いてあった。
その通りにやってみたが、結果は同じだ。
「まてよ・・・」
遠藤はふと気づいて、モードの切り替え順を入れ替えてみた。そして、
こっそりとコンタクトを外して掛けてみた。途端に,遠藤の口はぽかんと
開いて、それからにんまりとほくそ笑んでいった。

どうやら、そのサングラス(商品名はテレグラス、と書いてあった)は
眼鏡のレンズはガラスではなく、小型ディスプレイと呼んだ方が妥当な
ようだった。テレス、とはおそらくテレスコープ--望遠鏡--から
来ていて、ほとんど接眼状態でレンズ部分に伝えられる情報を,裸眼で
視認できるということだろう。やや太いと思われるフレーム部分に組み
込まれた小型レンズに外部からの映像を取り込み、それを内側に投影する
仕組みだ。解像度は、かなり、いい。
たしかに画期的だが、説明が不十分なようで、ひやかしの客ばかりだった
ことは頷ける。
デザインも、そこらにあるサングラスとは違ったフレームのようだが、
奇異な感じでもない。
特売のポータブルCDプレーヤと同じくらいの値段を見て、遠藤はもう
迷うことはなかった。

駅から少し離れた雑踏。遠藤はテレグラスを掛けたまま人通りの多い
アーケード街を歩いていた。早いパンニングには映像が完全にはついて
いかないようだが、普通に使う場合には問題はなかった。むしろ、
鮮明に映り過ぎる部分もあり、どぎついデコレーションの店の前では
軽いめまいを感じた。しかし、これも慣れだろうな、と彼は思った。
(そう、そう)
実は本体とは別に、ワイヤレス操作できる名刺大のカードがあったのだ。
これも組み合わせでバリエーションがありそうだった。
一番単純そうな「ZOOM」と印字されたボタンは、そのままズームが
できるのだった。他の機能は、その時は試すのはやめて、目への負担の
程度を調べることにした。
家に帰ったが、予想したよりも、疲れは少ない。ただ、
(このデザインじゃ、会社にはかけて行けないな)
と彼は苦笑した。

目が,またかすんできた。
もう、12時を過ぎるというのに、まだ煌々と部屋の照明の残る一室。
また、辛い時間になったな、と遠藤は心の中で思った。
部屋にはまだ数人が残っている。その中に、およそプログラマーでは
なくてモデルとして才能を発揮できそうだと10人中8人が口を揃えて
言いそうなルックスの岸田亜由美がいた。
もちろん、そんな彼女を狙っていたのは、数人の男性ばかりでなく
遠藤も同じだった。当然、「予約済み」の噂もいくつかあった。
彼女の席は遠藤の前の通りで、そこで彼女の後ろ姿が常に視界に入って
いる。
(いかん)目の痛みに耐えかねて、彼は洗面所に向かった。コンタクトを
外してから、(しまった)と彼は焦った。
間違って、あのテレグラスを持ってきている。ただ、まだ仕事が終わる
目途はない・・・。部屋から声が聞こえた。
「お先に~」
3人ほどが帰るようだった。これで、フロアにはほとんど人はいなくなる
はずだ。上司は残っていない。
(ま、いっか)
思い切ってテレグラスを掛けた。あとは、野となれ、だ。
席に戻った。
フロアには、亜由美と2人、ではないが、あとは遠くのデスクに2、3人
いるくらいだった。みんな黙々と打鍵している。
しばらくして、前の席の亜由美が彼の方に振り向いた。
「えんどーさん、先週も徹夜でしたよね」
「あ、ああ。そう。ユーザさんにはかなわないよ」
「ふーん、そうなんだ。あ!そのサングラス!なんですか?それ」
仕方ないか、と心の中で舌を鳴らした。
「あ、度付なんだけど、今日、間違えて持ってきちゃって。ははは」
「ちょっと変わってますねーレイバンじゃなさそうだし・・・」
亜由美の大きな瞳が勝手にズームされるようで、彼は慌ててキーボードに
目線を落とした。
それと同時に、ワイヤレスカードをバッグの中で探した。あった。
たしか、周囲をぼやけさせるアウトフォーカスの機能があったはずだ。
それを選んだはずだったが、目の前のテレグラスのディスプレイには
「ネイキッド」
の確認メッセージが現れた。
顔を上げて、前を見ると、デスクの引き出しを探す亜由美の横からの
姿が見えた。
「!」
その彼女の姿は赤外線を通したよりもリアルに、白い素肌が透けて見えた。
それも鮮明に。彼の頭の中でアンビバレンツな理性が闘う間に、彼女は
元通りに後ろ姿となっていた。洋梨型のシルエット,それだけでも
扇情的な眼前の光景に、彼の指はぴったりと止まってしまっていた。
我に返って,焦りながらワイヤレスカードをいじり、やっとのことで
ノーマルモードに設定を戻した。

「ああいうこともできるんだ・・」
思い出すともなく、亜由美のあのシーンは頭に焼き付いていた。
自分の車で高速道路を走っている遠藤の口は知らす知らずのうちに、ニタ
ついてしまっていた。その時、前を走る車のブレーキランプが一斉に点灯
したようだった。そして、停止。通常にはありえない減速だ。
前も、後ろも車に囲まれてしまっていた。
やがて、警察のサイレンが聞こえてきた。
パトカーや救急車が行った先には、トンネルがあるはずだ。
遠藤は全く止まってしまった車を出て、他のやじうまと同じように前方へ
歩いて行ってみた。
同じように集まったやじうまから「衝突事故らしいな」とか「ぺしゃんこ
だってさ」とか声が聞こえる。
トンネルの前では警察がいて、一般ドライバーに立ち入り禁止を告げている。
よく見ると、事故車は車の影に見えているようだ。
彼も立ち止まって、そして「テレグラス」のコントローラを手にした。
「トランスペアレント」
というの確認メッセージが現れ,その下のゲージをすこしずつ大きくして
いった。
透過性機能が作動し、並んだ車の内部やその向こうの人間の姿が現れては
消えていく。2台のトレーラの間に挟まれた事故車らしい乗用車が映され,
その中に,細かくだが動く人の姿が見えた。回りには,ややあきらめ気味な
表情の消防隊員があった。
モードを通常に戻し、彼は近くの警官に声をかけた。
「乗用車の中の人、早く助けないと」
「いや、そうなんだが、あの様子じゃ、手をつけられないのでね」
「何言ってるんですか。まだ生きてますよ。早く、カッターかなにかで
切り開いて出してあげないと」
「そう言われてもねぇ・・・」
「あのですね」さっきの映像を思いだしながら言った。「後部座席の、
左側を開けてみてください。そこに頭があると思いますよ」
「なんだって・・・?」
「早く早く。連絡してみてくださいよ」
いぶかしげながら警官がトランシーバを出すのを見届けてから、彼は
自分の車に歩いて戻っていった。しばらくして、車は流れ始めた。
次の日の新聞で、その事故の記事が載っていた。乗用者に重傷者がいたことを
記述してあったが、彼の助言が活かされていたかどうかはわからない。
それでも、彼はちょっと満たされた気分だった。

幾度となく繰り返される作業も、彼には一向にルーチンワークとは
ならなかった。それで徹夜することがむしろルーチンワークとなって
いくようで、遠藤はまたも目の疲れに襲われる時間を迎えた。
テレグラスの方がやはり鮮明に回りが見えることもあって、人の少ない深夜の
フロアではかけることにあまり抵抗はなくなっていた。そして、今夜も
亜由美が前の席に座っていた。
しかし、亜由美はディスプレイの前にじっと座っているのではなく、
デスクの引き出しをさかんに引っ張り出してはまた別の収納棚に行くという
のを繰り返していた。
「どうしたの?」変換JOBが終わるのを待つだけになった遠藤は声を
かけた。「捜し物?」
「ええ・・」亜由美はいつになく本当に困った顔をした。そして、彼が
声をかけるのを期待していたふうでもあった。「そうなの。インストール
用のDAT、明日ユーザさんに持っていくんだけど、見つからないの」
「どんなやつ?」
「ラベルはないの。ケースに、付箋で[××町圃場データ]って書いて
あるけど・・。たしかに私のデスクのそばにあるはずなんだけど」
「ふーん。おかしいなぁ。ちょっと待って」
遠藤はコントローラを握った。
「サーチ」
の確認メッセージが出た。そして、「何を?」のプロンプトが。
付箋にあるはずの文字を入力して、彼はそのままフロアを見渡していた。
すると、彼女のデスクではなく、彼女の上司の部長のデスクで赤い点滅が
見えた。そこまで歩んでいくと、雑多な資料の下から、彼はDATの
小さな箱を拾い上げた。付箋にはその通りの文字がある。
「あったよ」笑みを抑えながら、亜由美を呼んだ。
びっくりした顔で近寄った彼女の表情が、見る見る安堵の顔に変わり、
そしてじっと彼を見据えた。
「ありがとう!そうか、部長が持ってたのね。よかった!」
「・・・・ああ」遠藤はちょっとたじろいで,顔が触れそうなほどの距離の
彼女に向いた。「たぶん、そんなとこじゃないかな・・・ってね」
「感謝するわ!今度、何でも言うこときいてあげる!」彼女の目は遠藤を
見つめたままだった。「ずっと探してたの。もう3時間くらい」
「そりゃ、よかった・・・」やっとそれだけ言って、遠藤は彼女から
離れた。「また、楽しみにしてる」
しかし、彼は楽しみになどできなかった。なぜなら、部長のデスクで
見つけたDATのさらに下には、キャミソールの彼女と部長がホテル
の部屋の中で撮影したらしき写真が挟んであったのだから。

その2時間ほど後、やっと仕事の終わった遠藤は帰路に着いた。
亜由美と部長の件は、それはそれで仕方ないことだが、どうにも割り切れ
ない気分に満たされていた。
深夜ということで、つい踏み込んだアクセルは、普段よりは深かったようだ。
全く予期しない場所で、いきなり背後から赤い点滅灯が近づいた。
スピーカからの指示で、彼はしぶしぶ車を道路脇に停めた。
「お急ぎのようですな」後ろに停めた車から出てきた警官は,アイロニー
たっぷりに窓から話しかけた。
免許証を提示し、そしてパトカーに乗るよう促された時、その警官は
彼の顔(もちろんテレグラスをつけたままの)を覗き込んだ。
「そのサングラス・・・もしかして、あんた、いつか高速道路で・・」
「え?」
「そうか?そうなのか?探していたんだ。命の恩人とやらはどこだって
再三再四電話があってね!」
切符を切られるどころか、彼は住所と連絡先を伝えただけで、無罪放免と
なった。そうして、翌日に、女性の声で連絡が入った。
この前は事故で絶望とされていた弟を助けてもらった、それは、遠藤の
警察への指示のせいに他ならない、一度会ってお礼をしたい、と。
遠藤は、それほどのことをしたとは思えない、と丁寧に断ったが、向こう
は引き下がらなかった。そして、ごく簡単にということで、喫茶店での
昼食を約束した。

待ち合わせた相手の女性は遠藤よりもちょっと年上のように思えた。
席に着くやいなや、あの事故で、本当は救急隊員が諦めていたところに
入った遠藤の指示でレスキューが来たことや、その時の事故の状況やら,
30秒に1回くらい頭を下げながら彼女は説明を続けた。
テレグラスがあったからこそできた技を賞賛されるのは,彼には面はゆく、
そこそこに席を立つ予定だったが、時間が過ぎて行くにつれて、その
女性(真美といった)の大きな瞳に惹かれていくような自分を感じていた。
そして、これで終わるはずなのに、弟さんの見舞いに行くという口実で
再会を約束してしまっていた。

それが只の恩義からの感情かどうかはわからないが、彼が真美と幾度か
会うことに、彼女には全く逡巡がなかったようだ。
ある公園で、ほとんど事故の話題には触れない会話の途中、遠藤は
真美が中座した時にテレグラスのコントローラを
「ジャッジ」
に設定した。
戻ってきた彼女に遠藤は話しかけた。
「・・・ところでさぁ、」
「何?」
いくつかの質問を遠藤は彼女に投げた。自分のこと、そして彼女の気持。
これからのこと。うまくは言えなかったが、彼女が口を開くたびに、
ディスプレイは「true」の文字を繰り返し表示した。その内容は彼が
予想していたものばかりだった。
そうして文字が表示されるうちに、彼は猛烈な自己嫌悪に襲われていった。
「ちょっと失礼」
遠藤はテレグラスを外して、コンタクトにはしないまま、彼女を見た。
そして、本当の気持を彼女に伝えた。
ぼんやり映った彼女の表情は、穏やかに笑い、小さくうなずくことだけは
遠藤にもはっきりとわかった。

しばらくのちに、テレグラスの画面は輝度を失い、交換するべき電源の
開け口も見つからないまま、彼には無用の物となっていた。
その代わり、彼女との出会いの記念として、それはずっと大切に仕舞って
ある。

          <完>

[あとがき]
もっと業界ネタにしようと思っていたのですが、
普通の話になってしまいました。
どうか次回にご期待ください・・・・
もう、こんな思いをしているのは7年以上にもなるだろうか。

朝出社するときは、子供たちはそれぞれ出勤・登校済み。
ヨメさんといえばリビングにおりていくと必要なことだけ一方的にしゃべくりまくるが、こっちは急いで顔を洗ったり歯をみがいたり、忘れ物はないか集中しているので、マトモに答えられない。
やっと朝食の食卓に着く頃にヨメさんは向こうの部屋に去っている。

帰宅しても、いつも一人分の食事を、フロのあとで自分でチンして食べるだけ。
家人からは「おかえり」の一言もない。
もちろん、娘たちの部屋のドアをノックして開けて声をかければ挨拶もするだろうが、親としてはそこまで卑屈になるつもりはない。


おそらく、いつかボクが死んで家からいなくなっても、彼女らはほとんど生活習慣が変わることはない。
それは、きっと、いつまでも悲しむよりは、彼女らにとっても幸せなことなのだろう・・・